図書の紹介です。
『医療の限界』(小松秀樹 新潮選書 700円+税)を読みました。
そもそも医療そのものに限界がある(不老不死はありえない)というところから始めて、現代の医療の限界、現在の医療の限界について述べてある本です。
特に、80年代はじめ以来の医療費抑制政策と、小泉構造改革以降の市場原理主義下における医療の限界について述べながら、その根源をアメリカ建国時の事情と関連させて考察していく後半は、「迫力」があります。(私としては、単純化しすぎで科学的な論理性はいささか劣ると思いますが、説得力はあります。)
で、このタイトルの医療を介護や福祉に換えて、「介護の限界」、「福祉の限界」としてみると、いろいろと考えなければならないことが出てきそうだと、(この2,3日)考えてます。
また、この本の中に「患者の自己決定権の限界」という言葉が出てきます。これも「利用者の自己決定権の限界」と言い換えると、ケアプランや処遇の議論に深みを与えそうな気がしてます。
(実は「医療の崩壊」という章もありまして、これはあえて言い換えはしたくないのですが・・・)
もう一冊、『クラッシュ 風景が倒れる、人が砕ける』(佐野眞一 新潮文庫)。
JR西日本脱線転覆事故、17歳連鎖殺人事件、雪印乳業食中毒事件、東海村臨界事故、阪神淡路大震災、ニューヨーク同時多発テロという大事故、事件等のルポです。
単純化してしまうようですが、ある「コト」が、「起こるまで」と「起こるとき」、そして「起こった後」。時間は過ぎ去るだけのはずなのに、歴史は繰り返されているのでは、と思えてしまう「やりきれなさ」。人の持つ無責任さと、自分がその無責任な当事者と重なり合うような「うしろめたさ」。
システム屋には、基本的に、トラブルシューティングや危機管理の勉強が必要なので、自然この種の本を手に取る機会は多いのですが、良書のひとつだと思います。(17歳連鎖殺人事件の章はちょっと物足りませんが・・・)

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